世知辛い冬まもなくボーナスの季節を迎える。戦後最悪の不景気と言われる昨今、自社のボーナスに全く期待していない方もいらっしゃることと思う。 私はというと正反対で、実は思いきり期待していたりする。しかし、高額を期待しているわけではない。前回と同水準を保つ程度に、だ。 元々基本給と賞与に関してはケチとの評判が絶えない私の会社だが、私はそうは思っていないのだ。むしろ、私の能力とやる気に相応した額が設定されていると思う。 私の能力とやる気…全く無し。 私が勤める会社では、年二回査定が行われる。最終的に決定するのは、AとかBとか、とにかく学生時代と変わらぬ段階表記だ。しかし学生との大きな違いは、この結果が直接夏冬の山吹色に響くということで、さらに、将来の進退にも関わってくる。 私は図らずも社会人だ。会社の禄を食み、それを生活の支えとしている。将来は、これを基に家族を養っていかねばならない。従って、ここで出される結果というものは、場合によっては将来の生死に関わってくるかもしれないのだ。 学生時代と異なり、ペーパーテストの結果が成績に反映するわけではないから、判断する人の裁量は重要だ。最終判定を下すのは会社の中でとっても偉い人なのだが、もっとも大きな影響を与えるのは、直接の上司の判断なのだそうだ。つまり、より現場に近い人間の意見が重視されるわけだ。 逆にいうと自分の配属先の上司次第では将来が暖かかったり寒かったりするわけだが、それは仕方が無いとして、それでもまだ、私の職場ではみんなが納得するような判定が行われるとは思えない。 私の職場には、上司がいないのだ。実際には、離れたところで仕事をしている。 上司がいない、つまり普段の我々の活躍ぶりを見ていないのに、成績を上司が判断するわけだ。ある日私は、この大事な査定で何を基準に成績を定めているのか、上司に尋ねてみた。 「そりゃお前、その時の俺の気分と、そいつの性別と顔で決めるんだよ。」 私の中でもやもやが消えた。上司の気分と、私の性別と顔で成績が決まるのだ。つまり、私の才能や努力が入り込む余地はほとんど無い(んなもん最初から無いだろ、という突っ込みは不可)。 顔は整形するという手もあるが、上司の顔の判断基準というものも良くわからない。というわけで、整形は裏目に出る危険性がある。しかし現在の顔にも自信があるわけでは無い。 私はこの質問をして、良かったと思っている。私の将来は確定している。今のうちから心の準備をすることが出来るのだ。 寒い冬を暖かく過ごすアイデアを募集します。 さて、上記を書いたのは昨年(1999年)の冬ボーナス前だった。私の仕事ぶりをろくに見ず、上司が気分で判断した結果、私のボーナスは驚いたことに社内規定上の最高額となった。 上司を、積極的に昼食に誘ったのが効いたのかもしれない。 度重なる上司の遅刻を、会社に黙っていたのが効いたのかもしれない。 いやそれより、コンピュータゲーム「ロードランナー」で話が弾んだからか。 私は、今の上司がとても好きだ。何と言っても話が面白い。気分屋で、能力軽視だ。四捨五入すると40歳なのに、まだ独身で、実に上司らしくないところが親近感沸いてよろしい。 …という話を、上司にしたのがまずかった。おかげで次の夏のボーナスでは、支給額が7万円ほど下がった。 2000年11月、会社より大阪行きの命令が下るかもしれないとの話を、上司より聞いた。 一人暮しを始めるとなると、何かと物入りになる。正直言って、ボーナスを当てにせざるを得ない。 今度は、夕食にたくさん誘ってみようと思う。あと、今度は「ドアドア」の話題でも振ってみようかと思う。 補足: 上記は一部フィクションが混じっています。さすがに気分だけで決めたりはしないでしょう…。それに、実際に万人が納得する査定というのは有り得ません。自己評価を主張出来るやり方を採っており、その成績に決定した理由も面接を通じて伝わるため、体裁は悪くないと思います。 あと、うちの会社の給与と賞与は、確かに平均以下の水準らしいですが、個人的にそれ程不満は無いんですよ…。やっぱり寮費4万円で補助金も食堂も無し、門限が厳しい、会社から遠い、というのが評判を落とす原因でしょうねぇ。 戻る
ページ作成 熊恭太郎
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