恥ずかしいなつかしアニメ


 今回は、まともかつ、少し恥ずかしい(?)話をしようと思う。

 子供の頃には誰であれ、少なからずテレビアニメを見た経験があるだろう。私も例外ではない。しかし、小学生くらいだと、男の子の見るアニメというとスポーツ物とか格闘物とか、とにかく単純明快な動きの激しい物や、創造的なロマンを沸き立たせるようなファンタジー物を好んで観ていたと思う。

 小学生の男の子にとって、こと恋愛物に関しては、「照れくさい」どころかむしろ「恥ずかしい」領域に分類されるもので、恋愛アニメを観ることは、学校の大便所で用を足す行動と同じくらいタブーだったように思える。

 いや、何も”恋愛物”扱いされるアニメばかりではない。恋愛という感情そのものを目の当たりにすることが、既に恥ずかしいことだったのだ。アニメ「ドラえもん」で、のび太としずかのエピソードを見ただけで恥ずかしいと感じたのは、おそらく私だけではないと思う。


 同時に、密やかな興味を持っていたのも事実だ。漫画など読んでいると、途中から全く気にならなくなって読みふけるが、やはり世間様には読んでいることを悟られたくなかった。

 ちなみに小学生当時、友達が男塾の話をしていた時、ついきまぐれオレンジロードの話を持ち出してしまい、「エロい」と馬鹿にされて恥ずかしい思いをしたことが有る。そう、当時はオレンジロードごときでもエロかったのだ。

 しかし、部屋でこっそり週間少年ジャンプを読むのと違ってテレビの場合、自分の部屋に設置されていなければ、家族の居ない間に内緒で見るしかない。何せ「エロい」と評判のアニメだ。小学生の癖にサカリがついたなどとは思われたくない。

 そこで、ビデオの出番だ。オレンジロードの放映時間は、見事に夕食の終わった頃、家族が全員リビングに集合している時間帯なので、誰にも見つからずに観ることはほぼ不可能だ。だからひとまず予約録画しておく作戦に出た。

 しかし、ビデオ自体も、家族の目の届くところで音を立てて動いているため、録画中は心臓が高鳴る一方だ。音ばかりではなく、デッキの液晶に光り輝く「4」のチャンネル番号表示が実にまぶしく、発見される事を恐れた。

 こうして、苦労して(?)取り終えたオレンジロードは、家族の居ない時にこっそり観て楽しむのだ。


 当時のオレンジロードは、実に面白い漫画だった。コミックは全18巻が未だに揃ってるし、今読み始めても熱中すると思う。

 今の奴はダメ。絵柄が変わっているし、本当にエロい。というか、まともに読んでいない。小説を軽く開いてみただけだ。はっきり言って、イメージ台無し。

 余談だが、私のハンドル名の一文字は、この漫画の主人公の名前から取ったものだ。

 ちなみに、当時録画したオレンジロードのテープはもう無く、処分済みだ。そもそも、媒体がベータなのだ…。


 小学生ながら、恥ずかしい思いをしつつ積極的に見たアニメはまだある。厳密に言うと、恋愛物で無いものもあるが、それなりに当時は「恥ずかしい」と思ったものだ。

  1. Oh! ファミリー
  2. ベルサイユのばら
  3. キャンディキャンディ
  4. はいからさんが通る

 良く考えてみると名作揃いだ。恥ずかしながら観ていた当時の自分が情けない。もっと良く観て、目に焼き付けておけば良かった。やっぱり良い話は良い。先入観や、下手な意地で視野を狭めるようなことをすると、損をするという良い教訓だ。

 2〜4については、親と一緒に見ていた記憶があるから、当時といえどもあまり抵抗は無かったように思える。

 3の内容は、ほとんど記憶が無い。オープニングだけはやたら良く憶えているが、どういう物語だっただろうか。

 2は言わずと知れた…という奴。

 4は観てなかった人も多いかもしれないが、ベルばら以上に心に残る物語だと思う。少なくとも、私にはそうだった。

 コンピュータ・ゲームにおけるAVGのジャンルで、最後は必ずハッピーじゃないと納得できないという人が結構居るみたいだが、私にはとても信じられない…。上記は確かにゲームではないが、2〜4については現代の悲劇調AVGに通じるものが有る。特に2と4。最後がバッドエンドだったことははっきりと憶えているが、名作だと思う。

 今、これらに匹敵するアニメってどれくらいあるのだろう。


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ページ作成 熊恭太郎