早く欲しいWhistler


 さて、少し毒(?)を吐いてみようと思う。

 昔、「憎き愛機」で紹介したように、私のマシンは極めて脆弱な作りになっている。その後ビデオカードのドライバがバージョンアップし、今ではかなり快適になってきた。勿論、フリーズが無くなったわけではなく、特定のアプリケーションとの相性は悪い。

 交換したCDドライブはしばらく順調に動いていたが、最近OSに認識されなくなった。交換してからまだ半年だというのに、また故障のようだ。

 リブートをかけると再認識することがあるが、しばらく経つとマシンがフリーズし、リセットをかけてみるとデバイス自体が消え去っている。復活させるとフリーズするから、使うわけにはいかない。ただし、前回のCDドライブと同じで、故意にドライブにアクセスしに行っている間は、問題が起きないようだ。

 とにかく、私が出した結論は一つだ。

二度とDOS/Vパラダイスの製品は買わない。


 信頼性の高いシステムが欲しい。同時に、何でもこなせる1台のシステムが欲しい。ネットワークサーバとして、快適なゲームマシンとして、BGM鑑賞マシンとして。いかに高価なワークステーションでもスピーカが付いていなければ音が出ないし、頑強なOSを載せてもハードがついてこなければ、重いゲームが動かせない。かといって古いOSを載せれば落ちやすくなる。

 昔、試しにWindows2000試用版を入れて運用してみたが、ゲーム『Ultima Online』が非常に重くなった。だが、前述したように私のマシンは脆弱だったが、まったく落ちなくなった。

 これは、Linuxで運用したときも同じだった。Linuxは起動時こそWindowsより時間がかかるが、これは元々常時稼動を目的としたOSであり、大した欠点ではない。起動後は、Windowsより遥かに軽快に安全動作する。そして最大のメリットは、多くの場合無料であるということだ(雑誌に付いてくるし、ダウンロードも出来る)。

 なぜLinuxには『Becky!』が無いのだ。『Ultima Online』もサポートしていない。『Kanon』だって『Age of Empires II』だって、Linux版は存在しない。『秀丸エディタ』だって欲しい。

 アプリがあれば、迷わずUNIX系OSを使う。例えLinuxが5万円であっても、数千万行ものソースコードをろくに保守しないWindowsシリーズなど、使う義理も無い。もう4年も昔から抱いている本音だ。

 Windowsブーム。なにもこんなろくでなしのシステムを、ブームに乗せなくたって良いだろうに…。愚かな大衆心理は、品質より一時の話題の為にカネを惜しませないのだ。結局、最後は誰が肥えて、誰が損しただろう。

 私は、プライベートでは損をしたが、人生全体としては多少の得をした。WindowsブームとIT革命という、二つの浪費運動のお陰で業界の需要が伸び、嫌なくらい仕事が存在する。

 いやむしろ、我々はこのアホな需要革命を利用して、生き延びなければならない。

 ソフト会社の経営者としてはヨダレ物の話だろう。MS-DOSやWindows3.1当時の安定したシステムを、ネットワーク化やWindows2000への移植という危険を伴う作業の為に、惜しみなく金を注ぎこむ無知な企業が世の中にはごまんと存在するわけだから。

 私の上司が私と二人で飲んでいるとき、こう言った。

 「このアホな革命とやらで儲かるのは、俺達ソフト屋だけだ。笑っちまう話だ。今は、相手から金を引き出す手段なんてものはいくらでもある。どこのソフト屋も、バカげた事だって分かっていながら、口八丁手八丁で仕事を提案して金を引きずり出そうとしている。」

 この話には興味深い続きがあったが、話がそれるのでここまで。


 私も、金を生み出す土壌となっているこの汚れた業界で、見た目だけは優れた品質最低のシステムを選ぶことにする。損をする事の多いWindowsを選ぶのは癪に障るが、流行のお陰で自分の生活が支えられているのだと思えば、それ程悪い気分では無い。あとは、出来る限り安価で環境悪化を抑える努力をすることだ。

 まず、Windows98はダメだ。すぐに固まる。精神衛生上悪いOSは使いたくない。Windows95はそこそこ安定していたが、巨大なメモリを上手に運用してくれる見込みが無いこと、後期版を手に入れないと2GB以上のハードディスクを扱えない事が問題だ。マルチタスク処理の出来も悪いらしい。

 そうなると、現状もっとも安全なのはWindows2000ということになる。しかし、これは動かないアプリが増える。また、現行のマシン(K6-III 400MHz)では動作が遅く、ゲームには適さない。しかし、だからと言ってマシンを買い換えるには、まだ早すぎる。

 NT系列のWindowsを選択する以上、マシンの増強は必須と考える(ここが私の嫌う愚行な訳だが、時代が求めている以上は妥協だ)。かのOSの安定度は確かに魅力なので、もはや他に選択肢は無いだろう。そこで、新Windowsの出現を待っている。

 『Wistler』というのがその開発コード名らしい。Windows95系列とNT系列に垣根が無くなり、一本化される最初のWindowsだ。パーソナルユースもビジネスユースも、全てWistlerとなる。日経バイト誌に言わせれば、「常時接続を想定したOS」との事だ。

 このOSに乗りかえる頃には、自分が遊ぶゲームの多くがWindows2000に対応しているだろうし、そうなればWistlerで動く可能性も高い。同時に、マシンを買い換える丁度良い時期となっているのではないか。

 とはいえ、2年も待っていられない。ベータ版を手に入れる頃から運用してみて、途中でマシンを買い換える。ストレスのある期間は出来るだけ短いほうが良い。

 私の予想では、このOSであまりストレスを感じずにゲームを遊べるスペックは、以下のとおりだと考えている。

  • CPU PentiumIV 1.2GHz
  • Memory 256MB

 会社のCeleron 600MHzのマシンでWindows2000を動かしているが、そこそこ快適に感じる。しかし、Windows95のように軽いわけではないので、ゲームを動かすCPUパワーとしては、最低この倍の感触が欲しいと思った。特にビデオ性能の低下が懸念される(UOの時はそうだった)ので、CPUパワーで押すしかない。

 ハイスペックなマシンを導入するということは、それだけコストがかかる。ボーナス一回分を注ぎ込まなければならない時が、近い将来来るような気がする…。


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ページ作成 熊恭太郎